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Book Bulletin Board =話題の本の情報=新刊、近刊の中から注目のタイトルをピックアップ。話題の小説、ビジネス書、実用書、エンタメ本などをブリテンボード(掲示板)のように分かりやすくご紹介。
2022.03.22 Tuesday
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ブックブリテンボードは、最近発売された本、雑誌、まんがの中から、注目のタイトルを紹介するブログです。文芸、ノンフィクション、社会、経済、科学から料理、アート、音楽、エンターテイメントまで幅広いジャンルをカバー。本屋、書店、アマゾンや楽天の通販ショップの売れ筋、ベストセラーのほか、隠れた名作もピックアップ。ぜひネットショッピングの参考にしてください。
2017.03.29 Wednesday
これを見て何を感じた?読者の幸福度が露呈する不思議な本
朝日新聞デジタルの人気連載を書籍化。ただし、新たに書き起こし、追加取材してバージョンアップしています。 この連載、とにかく面白いんです。普通の人の台所を取材して、台所の写真からそこに住む人の生きざまに迫っていくというユニークなアプローチの連載なんですが、登場するのは、夫婦、同棲カップル、同性カップル、夫を看取った女性、離婚危機、ホームレスと様々。写真と一緒に添えられている文章では、彼らの経歴や心情が紹介されていて、「あーそんな大変なことがあったから、こんな台所なんだ」と納得したり、リアルにその人の家にいる気分になってきます。
そして、特徴的なのが、住人の姿が写真に登場しないこと。たまに、後姿がちらりと写っているだけ。そのため、妙に想像が膨らみます。各ページには「40代、女性、未婚」のように簡単なプロフィールが明記されているので、それを手掛かりにその人の暮らしを謎解いていくんです。
食器や食品や調理器具が有り余るほどある台所なのに、なぜか満たされない気持ちを醸し出していたり、殺風景でほとんど何もない台所なのに、そこには未来に向けて生きようとしている気持ちがあふれていたり、台所からこんなにも人の暮らしが分かるのかと感嘆してしまいます。この暮らしを幸福と見るか、不幸と見るか……、この本を見て、何を想像し、感じるかによって、読者の精神状態が分かってしまう面白い本。 『男と女の台所 / 大平一枝』
JUGEMテーマ:独り言
2017.03.27 Monday
選考会を紛糾させた本、男性器を摘出したある人物の葛藤を綴ったノンフィクション
小学館ノンフィクション大賞で、選考会を紛糾させた作品。
ちなみに、「小学館ノンフィクション大賞」は、新進気鋭のライターの登竜門となるべく、海外冒険、スポーツドキュメント、ビジネスドキュメント、歴史発掘、観察記、博物誌などのノンフィクション作品を対象にした賞である。よって、第三者の視点で、事象を観察、記述することが求められる。しかし、今回の選考会では、異例の事態が発生した。その原因がこの作品だ。
作品の冒頭に出てくる文章はこうだ。 「2015年3月9日、当時36才。私は、男性器を摘出した。」
本書は、著者が自身の性の葛藤を独白した作品なのである。自分で自分を「取材し書いた」この作品は、果たしてノンフィクションたりえるのか?しかし、興味深いことに選考会では皆の意見は一致していた……、「それでも、この作品は面白い」。
著者は性器を摘出するが、女性になるための手術は行っていない。男でも女でもない状態である。人生において、同性も異性も見つけることができなかった一人の人間が、自らの「性」を探し続ける様子を綴ったノンフィクションである。最終的に、本作は大賞を逃すが、人間の生き様を真摯に描き注目を集めた作品である。
『男であれず、女になれない / 鈴木 信平 』
JUGEMテーマ:ジェンダー問題
2017.03.25 Saturday
朝まで女を抱いた後に試合で優勝、破天荒なスポーツマンを描いたノンフィクション
2017年3月6日に、活字メディアを通してスポーツの素晴らしさと価値を伝える、スポーツライターの活躍と業績を顕彰する唯一の賞「ミズノ スポーツライター賞」が発表されました。優秀賞を受賞したのが、不世出のやり投げ男、溝口和洋を描いた本。
高校のインターハイではアフロパーマで出場、いつもタバコをふかし、酒も毎晩ボトル一本は軽い、朝方まで女を抱いた後、日本選手権に出て優勝……と破天荒なスポーツマン。しかし、90年のある時期から突然姿を見せなくなった。その男の真実が、25年の歳月を経て、いま初めて明貸される。 『一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート / 上原 善広』
JUGEMテーマ:スポーツ
2017.03.18 Saturday
この本怖すぎ!人生において右か左かを選んだ人の末路を明かす、
こういう本が出るのを待ってました。 タイトルにある、宝くじにあたった人だけではなくて、人生において、右か左かの重大な決断をした人、または、ポリシーをもって我が道を行くの生き方をつらぬいた人の結果を書いた本なんです。 友達なんていなくたって平気、バックパッカーで自由に生きていきたい、毎日8時間以上眠りたい、キラキラネームを子どもにつけた、疲れたから海辺の町でゆっくり暮らしたい、禁煙にしなかった店……といった、変なポリシーを持って生きてきた人の末路を紹介しています。ある意味、すごーーく怖い本。 『宝くじで1億円当たった人の末路 / 鈴木 信行』
JUGEMテーマ:人生論
2017.03.17 Friday
グレン・グールドから神父惨殺事件まで、カナダの一面を明かすノンフィクション
アメリカやイギリスで起きた事件を扱った本は数多くみかけるが、カナダのそれは少ない。カナダは穏やかで平和な国というイメージがあり、事件を連想させることも少ないかもしれない。 本書は、カナダ在住の著者が、ピアニストのグレン・グールド、ノーベル文学賞作家のアリス・マンロー、『赤毛のアン』のルーシー・モード・モンゴメリーなど著名人の裏話のほか、神父惨殺事件、ドネリー・一家虐殺事件、カナダで最初に成功した航空機ハイジャックなどの事件を解説している。カナダでは刑務所で学位取得が可能らしく、そういった普段我々が知ることができないカナダの一面を覗くことができる本だ。 『カナダ事件簿 / ウィルソン 夏子』
JUGEMテーマ:ノンフィクション
2017.03.15 Wednesday
安月給、監視付きでも陽気に生きるフィリピンパブ嬢のノンフィクション
日本の酒場で働くフィリピン人女性の生きざまを軸に、その実情を明かしたノンフィクション。 著者が出会ったあるフィリピン女性は、月給6万円、ゴキブリの出る部屋、監視される生活、休みは月に2回のみ……という暮らしをおくっている。しかし、彼女は、底抜けに明るい性格で、力強く生きている姿が印象に残る。
著者は、フィリピン女性の帰省に同伴し、その様子も書いている。日本で奴隷のように過酷な暮らしをしている彼女なのに、なぜか実家は、メイドのいる豪邸で、家族は高級外車を乗り回す暮らしぶり。なぜ?実は、娘の仕送りで家族は悠々自適に暮らしているのだ。
本書では、フィリピンパブと呼ばれる酒場で働く女性たちの日々の暮らしに迫り、彼女たちのたくましい生き方を紹介しつつ、表からは見えづらい社会構造などを明かしている。ユニークな筆致で楽しく読めるノンフィクション本だ。 『フィリピンパブ嬢の社会学 (新潮新書) / 中島 弘象』
JUGEMテーマ:リーズナブルな飲み屋・首都圏
2017.03.13 Monday
トランプは怪物か?もしやアメリカという国が伏魔殿なのか?米国最新ルポ
朝日新聞のニューヨーク特派員による、今のアメリカを伝えるルポルタージュ。 著者のトランプ大統領に対する見方が、ちょっと公平感を欠くようで気になるけれど、アメリカの現状を知るには良い本。 本書では、ニューヨーク近辺の人々とアメリカの地方に暮らす人々では、トランプ大統領に対する感じ方に大きな温度差があることを明かしている。
トラック運転手、喫茶店員、電気技師、元製鉄所作業員、道路作業員、溶接工、食肉加工場作業員、ホテル客室清掃員といった、ごくごく普通の人々にインタビューすることで、トランプ政権に託す切実な思いが見えてくる。本当の問題は、トランプ大統領自身なのか?もしかすると、地方の人々をないがしろにしてきたアメリカという国の問題なのではないか?オンラインサイト「朝日新聞デジタル」の人気連載を書籍化した話題の本。 『ルポ トランプ王国 / 金成 隆一 』
JUGEMテーマ:国際社会
2017.03.09 Thursday
薬を増量しないと収入が得られない?認知症治療の知られざるシステムが明かされる
認知症の治療において、一定の服薬期間が経過したら、薬を増量しなければいけない「増量規定」というものがあるらしい。例えば、最初は1日に8mg、4週間後に16mg、症状によっては4週間後にさらに24mgと、服薬量が増えていくことらしい。薬の量が増えることで、患者にはものすごい負担がかかるらしく、これによって病状が悪化するケースもあるらしい。
では、なぜ増量しないといけないのか?それは、医薬会社が決めた添付文書のとおりに、医師が薬を処方しないと診療報酬が支払われないからだそうです。すごい大雑把な言い方をすると「医薬会社の言う通りに薬を処方しないと、病院は収入が得られない。それでは病院経営が成り立たないので、どんどん薬を出すしかない」ということです。
本書の題名には、そういう増量規定や既存の治療法を、何の疑いもせずに行ってきた医師の気持ちが込められています。自分自身で病気を学ぶ努力を怠ると、命を危険にさらすことになるかもしれません。本書は、認知症の現状を詳しく解説した初心者にもおすすめの一冊です。 『告白します、僕は多くの認知症患者を殺しました。 / 石黒 伸』
JUGEMテーマ:認知症
2017.03.02 Thursday
こんなに厚い新書は初めて見た!SNSで全てを失った人々
ツイッターやフェイスブックを日常のツールとして使っていた「普通の人々」が、ある日突然、どん底に落ちた様子を描いたノンフィクション。ロンドンのコラムニストが取材を重ね、その事件の表と裏を明かしている。
一例をあげると、あるアメリカ人女性が、アーリントン国立墓地(米国にある戦没者を慰霊するための国立墓地)にある「静かに、かつ、敬意を」と書かれた立て看板の前で、中指を立てた侮蔑ジェスチャーの写真をSNSに掲載した顛末が書かれている。SNSを見た友人がウケてくれるだろうと思い、冗談のつもりでやったのだが、数日後には全米中から非難のレスポンスが届きはじめる。やがて、ニュース記事となり、ついに彼女は職を失うことになる。 本書では、その出来事の概要とともに、火種がどのように大きくなっていったかを明かす。この件について、彼女自身は、軽い冗談のつもりだった、と述べつつ、友達しか登録していないSNSなのになせこんなに広まったのか……、恐らく友達の一人が外部に向けて私の写真を広めたのだと思う、と語っている。
知人に向けた冗談のつもりだった、友達しか見ていないから大丈夫だと思った……、その気持ちは理解できる、しかし、そこには大きな落とし穴があった。SNSが日常のものとなった現在、自分でもやりかねない出来事に、読んでいて冷や汗をかいた。本書は新書だが、その厚さ(ページ数)は異例の厚さだ。濃い内容の一冊といえるだろう。 『ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち / ジョン・ロンソン 、夏目 大 (訳)』
JUGEMテーマ:ノンフィクション 2017.03.02 Thursday
性暴力による精神的打撃の凄まじさを真摯に読み取りたいノンフィクション
13歳から7年間、実の父親から性暴力を受けていた著者によるノンフィクション。 本書の特徴は、暴力を受けた被害者の心情を本人が細かに明かしている点だろう。陰惨な出来事が、その後何十年にもわたって、人生に影響を与えること、日常生活のあらゆることにそれは影響し、その根深い苦しみは他人には想像を超えたものであることを理解できる。第三者は、性暴力の概要を知ることはできても、被害者の内面の苦しみをすべて理解することは難しく、知る機会も少ない。それを理解する第一歩となる本だろう。
『13歳、「私」をなくした私 / 山本潤』
JUGEMテーマ:ノンフィクション
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